真空亭雑記帖
当雑記帖は、真空亭住人の見たことやら聞いたことやら読んだことやらについての感想やら評価やらをつづるところである。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

再起動
十年ぶりぐらいに再会した友人に、まるでタイムマシンから出てきたようだといわれたのですが、これは進歩がないやつだという皮肉ととるべきなのか、経年劣化してなくてすばらしいというプラス評価ととるべきなのか、ちょっとばかり悩むところですが、そんなことよりも、なぜばれたのか、その友人の勘の鋭さに脱帽する次第でありました。

 というようなどうでもいい私事はおいておくとして、今回取り上げるのは奇しくも、「再会」によって復活したふたつのバンドのアルバムであります。

ダイナソーJr『ビヨンド』
ザ・ストゥージズ『ザ・ウィヤードネス』


一つは、十六年ぶりにオリジナルメンバーでアルバムを出したダイナソーJr(バンド自体は十年前まではメンバーは実質一人ながらも存続していたので、十六年ぶりのグループ再結成ということにはならない)、もう一つはなんと三十四年ぶりにメインの三人が集い、アルバムを出したザ・ストゥージズ、こちらは、じつは千九百七十年にいちど解散して、その三年後に「再結成」しているので、単なる復活ではなく、再復活、ということになる)。
 かたや、グランジシーンにおけるニルヴァーナ、パールジャムに続く三番手にして、もっとも深く愛されていた(信奉されたり、神格化されるのではなく)強力なトリオ、かたや、ゴッドファーザーオブパンクことイギーポップの最重要バンド、どちらもその過去の栄光がとても眩いので、下手な復活は、伝説に泥を塗る結果にしかならない危険性も十分にあったわけだけど、いざアルバムができてみると、笑ってしまうぐらい昔どおりでとりあえずはひと安心の出来なのであった。

 とはいえ、ダイナソーのJ・マスシス、ストゥージズのイギーポップ、この二人のどちらにとってもキャリア史上最高作かというとそういうことはまったくなくて、彼らの作ってきた作品群の中では平均よりちょっと上に出た程度のものでしかないのは、これはさすがにしかたのないところだろう。考えてみれば、「あの」ストゥージズ、や「あの」ダイナソーJrの伝説の時代がそう簡単に凌駕されると考えるほうがおかしいのであって、むしろ衰え、穏健化つつも、それでもなお過去と同じ空気を保っていられることを脅威と見るべきなのである。

 とくに、ストゥージズの変わらなさぶりは凄い。スティーヴ・アルビニの録音(アルビニは「プロデュース」はしない)によってもたらされた生々しいバンドサウンドもさることながら、もうそろそろ六十に手が届こうという歳のはずのイギーポップの若々しい歌声は驚異的である。アルバム二曲目なんて、最近の洋楽しか知らず、イギーのことを知らない人が聞いたら、レッドホットチリペッパーズのアンソニーがうたっていると思うのではなかろうか。アンソニーは、ライブでストゥージズの代表曲「サーチ&デストロイ」のカバーをしているだけでなく、「コーヒーショップ」という曲では「イギーポップのように踊ろう」なんてうたっているぐらいのファンであり、ステージングや唄い回しにもその影響は如実だから、詳しくない人が聞き間違えるぐらいはべつにおかしいことではないのだが、当たり前のことながらアンソニーが一番影響を受けたであろうイギーは二十台は前半のイギーのはずで、今のイギーがアンソニーに聞こえるということは、つまりはそういうことである。イギーの喉は時の洗礼にまだへこたれてはいないのだ。さすがに往年の異様なテンションはないにせよ、だ。

 一方ダイナソーはというと、これまたまったくいつもと変わらぬJ・マスシスの世界――ニールヤング直系の轟音にしてメロウなギターと、ニューウェーブ的に(直接にはやはりキュアー=ロバートスミスの影響が濃いか?)軽やかにポップなメロディをつむぐ脱力ヴォーカル――で、ひたすら心地よい。ただし、実質Jのソロプロジェクトと化していたインディーズ後期からメジャー期の多彩なアレンジ――これはその後のJ・マスシス+ザ・フォッグも名義が違うだけで制作形態も音楽性も同一線上にあったわけだが――は控えめで、あくまでオリジナルメンバー三人によるインディーズ中期までのスタイルに忠実な、トリオによるバンドサウンドがメインになっていて、そのぶんやや単調であるような気はするが……。

 両バンド、ともにこれから彼らを聞こうとする人々に勧められるかというというとちょっとためらってしまうものがあるが、かつての彼らがだいすきだった人々には、文句なく楽しめるアルバムといえましょう。
 転がり続けるのもロックなら、自然体で変わらないのもまたロックなのだった。たぶん。

 



これがそれぞれの帰還作。いわばタイムマシンで送られてきたアルバムたちである。
で、以下が、その過去そのもの。

  

ストゥージズのオリジナル作二枚と、最初の再結成一枚。ロックが好きで全作聴いたことのない人は今すぐ聞きましょう。有名な「I wanna be your dog」は一作目に収録されているが、最高傑作はじつは二作目の「ファンハウス」で、テンションの高いバンドサウンドだけでなく、サックスプレイヤーも使ってアヴァンギャルドな音作りを試みたりしていて、レッチリがライブの最後の長いジャムセッションに演奏していることでも有名になった「Search and destroy」収録の三作目が存在していなくても、このバンドの重要性か割らなかっただろうと思わせる強力作なのだった。まあ、とっつきは一番悪いような気もしますが(聞く順としては、1→3→2というの一番あたりさわりがないだろうか)。

  

ダイナソーのほうは意外に作品が多いので、初期(第二作)、中期(第五作)、そしてダイナソーとしての最終作「Hand it over」は品切れのようなので、名義を変えての第一作(実質八作目)をセレクト。一般的には最高作は二作目ということになっているが、好みとしては五作目の一曲目「アウトゼア」の強烈なギターをまず聴いて欲しいところ。そして、アルバムを買いあさった後「モアライト」のタイトル曲に辿り着く、というのが理想の流れだろうか。基本的にどれも同じなので、一つ気に入れば、皆気に入るはずである。
スポンサーサイト


プロフィール

真空亭

Author:真空亭
FC2ブログへようこそ!



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



FC2





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。